住宅と商業が
一体となった複合再開発事業。
その建物デザインを手掛けた
3社のデザイナーに、
想いとこだわりを伺いました。

South棟(住宅) FACADE DESIGN 
東急設計コンサルタント 須藤 悦秀

デザインに当たり、本プロジェクトの特性について、どのように捉えられたのでしょうか?

当社は本プロジェクトに既に10年以上関わらせていただいていますが、再開発事業という特別なミッションを達成するために、長きにわたり地元の皆様の想いをお伺いし、それを形にしてきました。特に今回は、横浜市の土地区画整理事業と民間組合の再開発事業が同時に立ち上がり、新たに街を創り出すという、非常に希少なプロジェクトです。単純に建物を建てるという行為ではなく、地元の方の想いを込めながら、将来を見据えて街全体を形成していくというところが、最も大きな特性だと捉えてきました。

株式会社
東急設計コンサルタント

建築設計本部 第2設計室 部長

須藤 悦秀

〈東急設計コンサルタントの主な実績〉

・二子玉川東地区第一種市街地再開発事業
 (二子玉川ライズ)

・渋谷スクランブルスクエア(東棟)

デザインのコンセプトについて教えてください。

まず最初に、施設全体の基本的な理念をつくりました。商業施設は「暮らし」、レジデンスは「住まい」、区民文化センターは「豊かさ」という大きな3つのビジョンに基づき、街としての賑わいを出したり、住まいらしい落ち着きを出したり、人と各施設の関わり方を整理しました。
さらに、本プロジェクトの特性である鶴見川などの「風土」、過去から未来への「時間」軸、新駅や道路の整備により向上する交通アクセス「機能」、という3つの綱島らしさを加えました。この3つのビジョンと3つの綱島らしさをデザインに昇華させることによって、人と地域と未来をつなぐ施設を目指しました。

外観デザインの特徴を教えてください。

施設全体の基本理念を具現化するに当たって、South棟(住宅)の外観は鶴見川や空といった自然との「つながり」を想起させるデザインを意識しました。ファサードは大地から空へと上層部へ行くほどアースカラーが明るくなる上昇感を表現したグラデーショナルなカラーリングを採用しています。バルコニーのガラス面には、水面や川の流れをモチーフにした柔らかな曲線のデザインを描き、綱島の豊かな自然を映すようなファサードに仕上げました。
そして、この「つながり」というキーワードは、南部様が担当したSouth棟(住宅)の共用部や、城戸様が手掛けたNorth棟(商業)にも受け入れてもらい、基本理念をより緻密にデザインに落とし込んでもらいました。

綱島の自然を象徴する鶴見川(約60m /徒歩1分)
自然とのつながりを想起させるグラデーショナルなカラーリングと
ガラスの曲面デザイン

South棟(住宅) PUBLIC SPACE DESIGN 
フォワードスタイル 南部 昌亮

デザインに当たり、綱島エリア及び本プロジェクトについて、どのように捉えられたのでしょうか?

新駅開業、再開発事業、さらには複合施設であるという、複数の特性が重なり合う壮大なプロジェクトにおける住宅ということで、住空間の創出を超える提案が求められます。地元の特長や、複合業態の中のバランス、外観デザインとのつながりなど、様々な要素を共存させる必要がありました。特に、風土を強く意識し、綱島の自然や歴史を紐解く中で、綱島の自然の象徴である鶴見川や温泉街だった歴史などを踏まえ、都心とは異なる温かな風土を感じつつも、再開発で生まれ変わる街や新駅が有する新たな価値を融合させることを目指しました。

フォワードスタイル
株式会社

代表取締役

南部 昌亮

〈フォワードスタイル株式会社の主な実績〉

・クロスエアタワー

・ドレッセ鷺沼の杜プライムフォレスト

デザインのコンセプト及び特徴について教えてください。

デザインのベースになっているのは、日本の伝統美を重んじた「和モダン」です。禅スタイルと言っても良いかもしれません。それは引き算による美しさの追求で、最初につくったものから様々に引いていき、最終的に残ったものが最も美しいバランスを有する、という考え方です。デザインを優先するのではなく、できるだけ自然体で、美と機能のバランスを共存させる絶妙な感覚が求められます。

折り紙のような立体的な天井のデザインにより「上空への昇天」という思想を表現したロビーラウンジ

また、先ほど須藤様からグラデーションという話がありましたが、自然な「つながり」というのも一つのコンセプトです。日本画の技法で「ぼかし」「垂らし込み」というものがありますが、どこが境界か分からない方が人に対して自然で優しい。たとえば、ロビーラウンジの床材は直線的に区切らずに、敢えて空間が滲み出すように少しはみ出したりすることで、自然な「つながり」を表し、人々を優しく包み込む迎賓の空間を創出します。
外観デザインが表している、大地から上空へ昇天するイメージも、自然な「つながり」の1つですが、ロビーラウンジの折り紙のような立体的天井にも、上層階のスカイラウンジにつながっていく、昇天していくという意味が込められています。

使用している素材にもこだわっており、綱島の歴史や自然を象徴するようなエレメントやマテリアルを採用しています。綱島温泉の温もりとつながる「火」、温泉街の旅館をイメージした「木」、豊かな自然環境を表す「石」「土」「緑」といったものを各所に散りばめています。例えば、エントランス周りに採用した割肌仕上げの御影石だったり、床材には木調のタイルを選んだり、空間の内部・外部に感じる緑であったり、スカイラウンジに暖炉を設けたり、デザインの随所に踏襲しています。

自然を象徴するエレメントのひとつである「石」を贅沢にあしらったグランドエントランス
割肌仕上げの御影石
木調タイル

本プロジェクトは単純にLuxuryを追い求めるのではなく、『次代に求められる本質的かつ上質な豊かさ=Luxe(リュクス)』というコンセプトに基づいてデザインしています。豪奢というよりは、もっと自然体な豊かさを求める考え方で、今回は綱島の風土や文化を受け継ぐ再開発ですので、奇をてらわない、本当の豊かさを感じるものにしたかったのです。その思いから、カラートーンとして、グレーとベージュの中間のようなグレージュという、落ち着いていながらハイセンスなトーンを採用しています。
建物の基壇部には黒い色の濃い石を使っていますが、そこから中に入っていくにつれて、グレージュのトーンになっていきます。これは、公の場所から我が家へ帰ってくる過程で、だんだん心が解れていくような意識にしたかったからです。入り口の部分では凛とした構えに誇りを感じながら、住まいへ歩みを進めるほど優しさに包まれるような雰囲気を感じていただけるはずです。

North棟(商業) FACADE&PUBLIC SPACE DESIGN 丹青社 城戸理誠

デザインに当たり、綱島エリア及び本プロジェクトについて、どのように捉えられたのでしょうか?

今回の再開発を契機に、新しい綱島エリアを構想する上で、現状の課題を紐解くと、交通利便性が高い反面、狭小地が多く、歩車が混雑していること、また、綱島駅を境に東西が別れてしまっていることがわかりました。
地元の方々や行政との意見交換を重ねるなかで、本プロジェクトでは、現状の課題解決のため歩行者に優しい街を実現するとともに、地域居住者だけではなく、周辺エリアからも多くの人々が訪れる、魅力と活力あふれる場の創出を目指しました。同時に、駅周辺も含めた街の変化に伴い、綱島エリア全体がいわば「まちのテラス」として人々が集まり、語らい、寛げる空間へと変貌するなかで、本プロジェクトがエリアのランドマークとしてその一部を構成することを構想しました。

株式会社 丹青社

CMIセンター 空間メディアデザイン室
デザインディレクター

城戸 理誠

〈株式会社 丹青社の主な実績〉

・東急田園都市線新型車両2020系
エクステリア・インテリア

・渋谷スクランブルスクエア
ショップ&
レストラン 空間設計

デザインのコンセプトについて教えてください。

North棟(商業)では、「engawa(縁側)」をキーワードに日常的な寛ぎや開放感、垣根を越えたコミュニティといった綱島らしい温かみを育む仕掛けを考えています。外構のベンチやちょっとした広場、多様な個性のお店が縁側を持ち、そこに人が集まりつながって、街全体がテラスになっていく。それが綱島エリアの魅力になると考えます。
さらに、「つながる」というコンセプトも踏襲しており、本プロジェクトが街の東西の賑わいをつなげる役割を担います。また、綱島公園から綱島諏訪神社、鶴見川と続く緑のライン上に位置づけられている本プロジェクトは、綱島エリアの緑のラインをつなげるポイントであります。ここがまさに、人の行き来と緑をつなぐテラスになってくれればと期待しています。

綱島公園・綱島諏訪神社・鶴見川によって形成された緑のライン上に位置する
本プロジェクト

デザインの特徴について教えてください。

先程、South棟(住宅)デザインの話であった「和モダン」をNorth棟(商業)では木調テイストで表現しています。訪れる方にとって身近に感じられ、安心感や温かみのある素材というのが木調なんです。テイストを統一する一方、単調にならないようにリズミカルな凹凸面、色のトーンバランスを加えています。
さらに特徴として、グラデーションも施しています。North棟(商業)では、商業施設と区民文化センターがつながっているのですが、外装も木調とアースカラーを基調に縦方向のグラデーショントーンでデザインしています。
もう一つは水平ラインのつながりです。例えば、軒先や庇、パーゴラなど、横基調の意匠ラインを設定することで施設全体の一体感を表現しました。そして、この水平ラインのつながりは、本プロジェクトだけではなく、エリア全体へのつながりや、統一感のある美しい街並みの形成にも配慮し、計画しています。

軒先・庇・パーゴラなど横基調の意匠ラインを設定することで
施設全体の一体感を表現

※掲載の完成予想CGは計画段階の図面を基に描いたものであり、形状・色味等は実際とは異なります。尚、外観形状の細部、照明、排水設備、室外機・雨樋・換気口・出庫灯・ポンプ・回転灯等の設備機器、敷地周辺の周辺建物、駅施設出入り口、駅施設換気塔、交通施設の上屋、インフラ系施設、街灯、歩道・車道・信号・消火栓・標識・ガードレール・カーブミラー・車止め・看板等は表現を省略または簡略化しております。植栽については特定の季節、時期、またはご入居時期を想定して描かれたものではありません。葉や花の色合い、枝ぶりや樹形は想定であり、実際とは異なります。家具・照明・調度品・備品は変更になる場合があります。また、店舗のディスプレイ等はイメージであり実際とは異なります。敷地内に店舗ならびに公益施設のサイン・看板等が設置される予定ですが、設置場所や形状等が未定のため表現をしておりません。South棟(住宅)及びNorth棟(商業)の店舗・公益施設等の施設は住宅共用施設ではないため、当該施設の所有者・運営事業者により、用途や運営内容、看板デザイン等が決定されます。また、当該施設は居住者以外の第三者が立ち入り利用します。なお2021年8月現在、当該施設の運営事業者、用途等は未定です。
※掲載の環境写真は2020年9月に撮影したものです。
※掲載のマテリアル写真は2021年4月に撮影したものであり、色彩及びテクスチャーは実際と異なる場合があります。計画段階のものであり今後変更になる場合があります。
※掲載の航空写真は2020年9月に撮影したものにCG加工したもので、実際とは多少異なります。
※本物件は「新綱島駅地区市街地再開発組合」を施工者とする「新綱島駅前地区第一種市街地再開発事業(2023年10月竣工予定)」の一部であり、売主は地権者ならびに参加組合員として取得した保留床等を分譲するものです。「新綱島駅前地区第一種市街地再開発事業」は住宅と商業施設、公共施設(区民文化センター)の複合施設となり、建築確認申請上は1つの建物ですが、地上29階地下1階建てのSouth棟(住宅)と地上7階地下2階建てのNorth棟(商業)にて構成されています。事業の完了は工事の状況等により遅れが生じる場合があります。また、計画が変更になる場合があります。本物件は住宅の一部を分譲するものです。敷地・建物の一部は綱島東一丁目地区地区計画に基づく地区施設(広場2、歩道状空地1、歩行者用通路、出店:綱島東一丁目地区地区計画 計画図)となっており、居住者以外の第三者が立ち入り利用します。商業施設及び公益施設(区民文化センター)は計画中のものであり変更となる場合があります。商業施設及び公益施設(区民文化センター)は2023年開業予定ですが、開業時期が遅れる場合があります。また、施設の運営は将来にわたって保証されるものではありません。なお、制振構造の採用はSouth棟(住宅)のみとなります。North棟・South棟は仮称です。